アルトの世界

ナレーションと語り*

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裏声日記

しんぺいさん

夕方、事務所に行くとマネージャーが

「僕、あれからあそこの店行けてないんですよ?」

あそこ

とは、変態の店のことである。

そうなんだ。気に入ってくれたんでしょ?

「めちゃ気に入りました!自分へのご褒美で月1は行きたいんですけどね。下間さんは行ってます?」

実は…今から(笑)

彼はたいそう羨ましがり
彼にとってはご褒美として行きたい店に
わたしがしょっちゅう行っていることに、少なからず申し訳ない気持ちになった。

さて、今夜の変態魚も素晴らしかった。

たつみ

初めてご案内した方も、うんうん唸りながら感激してくれて

「これは日本酒やなー」

お酒が進む(笑)

そうこうして2人でかなり飲んだ頃、
カウンターにご年配のご夫婦がいらした。

そして…

「どうぞ飲んでください」

と、お銚子が出てきた。

聞けば、マスターとは中津の頃からの付き合いで
本庄あたりで不動産などを手がけるお金持ちらしい。

「町の小さな親切丁寧な悪徳不動産屋しんぺいです」

ちょっと違う気がするが、そんなような自己紹介をしてくれた(笑)

そして、現在74歳であること。
妻以外に5人の愛人がいたこと。
なぜ5人必要であるか、などなど

面白い話をしてくれるのだ。

そして、再び

「お酒飲む?」

と言って、お銚子がふるまわれる。

面白すぎる。

奥様はというと、いつものこと…という感じで聞き流し(笑)
すごいわぁ、オトナ!

そのうち、しんぺいさんは、わたしらと反対側に居た男性二人組←たまたま私の知り合い(笑)を連れて
奥様は置いて、新地のクラブに向かった。

「下間さん!オレ、なぜか新地にいかなあかんようになったわ!なんで?なんで?」

行ってらっしゃい(笑)また報告待ってるわ(笑)

こうして不動産王と共に消えて行ったのだった。

ウケる。しんぺいさん!

さて、残された奥様。

しんぺいさんの席が空いたので、そこにわたしが座り
少し奥様のお話を聞かせていただくことにした。

若いときは貧乏で、でも、しんぺいさんを支えてきたこと。
バブルになって儲かってきたときも、ピンとこなくて質素であり続けたこと。
オンナが出来ても生活は安泰だから許せたこと。

など。

愛人が、手首を切ってやる!と奥様に脅しの電話かけてきたこともあったとか。

そういう人生を、奥様は生きてきた。

素敵な方。

しんぺいさんも、愛してるのは妻だけだと公言している。
愛人が嫉妬したのも、それが揺るぎなかったからなのだろうと思う。

奥様にお礼を言って、私たちは先に店を出た。

なんだか面白い夜。

しかしNくん。。。あのあとどうなったんだろ(笑)

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