アルトの世界

ナレーションと語り*

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裏声日記

想い出はほぼ悪口

「考えたら、ジョンは可哀想だったよねぇ。。。」

姉が言った。

ほんとだよ。

「でも、ほっぽらかしてても、呼んだら喜んでかけてきてさ。」

犬は従順だよね。
でもさ、私たちが欲しいとか、言ったことなかったよね。

「そうだよ。ぜんぶ勝手に」

そう。
いつも勝手に、いきなり連れて帰ってきたんだよ。
お父さんが!

「面倒なんてひとつも見ないくせに!」

犬も!九官鳥も!ウサギも!

「ほんとひどい話だよね」

という、想い出話をした。
父の命日に(笑)

父は、こんな話は序の口で
それはそれは酷いことを山盛りしてくれた。
blogには書けないようなこともたくさんされた。

他人は

「お父さんに感謝しないと」

などと気安く言うが、
なにも知らないのに…と思う。

それほどの悪人だった。

しかし。

しかし、なのである。

私がこうして好き嫌いなく美味しいもの、美味しいお酒を飲めるのは
父親のおかげだと思うわ。

それを聞いたソムリエさんが

「それはいいですね!」

と、言った。

うん。小さい頃から良い店連れてってもらったし、
お酒も飲ませてくれたし。

「お酒もですか?!」

そ。葡萄酒ね。
小さい頃から飲め飲めって。

父はグルメだったし
母は料理上手だった。

姿勢が悪いと叱られ、歩き方を教わった。

言葉遣いも注意され
大学まで出してくれて、アナウンススクールにも通わせてくれた。

経済的な不安は概ねなく
お洒落のセンスを教えてもらった。

こんなに感謝の言葉が浮かぶけれど
それに対して、100倍酷いことをされた事実は消えない。

ただ、今言えるのは
あの酷い出来事さえ、私の人生にプラスに働いている面もあるのでは?

負けん気を持ち
忍耐力を持ち
どん底を知ったことで「あのときよりはマシ」と思える、前向きな考え方を持てた。

悲観的な時期もあったが
それを乗り越えられて今がある。

今日は1日父親との関係性について考えた。

箇条書きにして並べたら

感謝の言葉も意外とあった。

命日にきちんと手を合わすこと、これを教えてくれたのも
父だった。

ドゥカ

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