手を握れるか?
都合で一日前倒しにしたが、本来は今日が父の命日である。
暑い暑い真夏の夕方、父は逝った。
死ぬ直前、父の身体をさすったり、父の手を握ったり、必死に呼びかけた。
そんなことを自分が自然に出来るとは思ってもみなかったのに。
父と私の間には公言できないような色々なことがあり、溝があったのだ。
それでも感謝しなくちゃいけないってことは分かっていた。
私が生まれてこられたこと。養ってもらえたこと。健康であること。精神的に強くなれたこと。反面教師として君臨してくれたこと。
私が家を出たあと、一度だけ父を我が家に招いた。
父の好きな料理を用意しようと、あれこれ考えて準備した。
くじらベーコン。
生レバー。
それから焼き肉。
料理・・・じゃないか?(笑)
でも、父の好物ばかりである。
「くじらベーコンか!珍しいなあ。うまいなあ。生レバーなんか、売ってるんか?」
喜んでいたことを思い出す。
最後にご飯とお味噌汁を出したら
「この味噌汁は良い味や。どこの味噌や?」
「そう?あはは、まあね。」
マルコメ味噌だとは言えなかった。
母は何度も遊びに来たが、父を招待したのは最初で最後、これっきりである。
父が死んだ今でも、私は悪夢にうなされる。
父が怖くて怖くてたまらない夢だ。
ガキじゃあるまいし、私はそういうところ、駄目だなあ。
父のためにくじらベーコンを用意する。
ビールはサッポロだっけ?でも、あげない(笑)
オロナミンC、好きだったでしょ。これで我慢してよね。
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