焼き肉説教部屋
コロナの前。
インバウンド向けの日本伝統文化を伝える施設が難波にオープンした。
「石見神楽なにわ館」
という。
私はそこで、広報や、映像プロデュース、レセプションのMCなどを担当。
プレスリリースを出したり、対応したり、映像制作チームとやり取りしてイラストを使った動画を制作。
まぁ、いろんなお仕事を担当した。
ことの発端は、素人の社長が、石見神楽に魅せられて、常設館を大阪に創りたいと思ったことが始まりだった。
私の飲み友でベテランのカメラマンさんちゃんが、あまりにもプロデュース力が甘いのを見かねて
「やり手のアナウンサーを紹介する」
と言って、社長に引き合わせた。
最初はそんな話だと知らなかったから、普通に誘われて食事に行っただけだったが
そこで社長に気に入られ「手伝ってほしい」と頼まれたのだった。
さて
私は期間限定の契約を結び、オープンしたら離れると約束した。
石見神楽の舞手は、本場の演者が直接指導して育てた大阪社中の面々。
日々練習を重ねて、迫力ある演目の準備は整った。
そして、無事にオープンの日を迎え、あちこちのマスコミも取材しにきてくれて、、、
これから外国人がわんさか来てくれたら!
というところで、コロナ。
さらに
私の範疇ではないところなのだが、演者と社長とのあいだで一悶着あったらしく、、、
その後、社長はあっさりと施設を閉じた。あんなに熱くなって、投資もしたのに短い命だった。
ただ、今思うと、この決断の速さは、結果的には良かったと思う。
あれから3年。
社長が、最近焼肉店をオープンしたとのことで、さんちゃんと2人ご招待を受けた。
「また石見神楽やりたいねん」
「なるほど。」
しかし、問題は舞手である。
「もう一度お願いしたら良いじゃない」
「それは無理やな」
「えーーーー?」
私とさんちゃんは口を揃えて異論を唱える。
「社長、それはやめたほうがいいですって!」
「そうよ。お互いにとってメリットあれば、戻ってくれるかもしれないじゃない」←わたしは誰でもタメ語
「・・・・。」
「とよちゃんがなんとかしてくれますって」
「はぁー?!」
なんでそこで私の名前が出てくるねん!
「社長、わかってるでしょ。とよちゃんならちゃんとやってくれますから」
「下間さんは高い」
「そこっ?!いや、どっちでもええわ。そんな余裕ないからどっちにしてもダメ」
「いやいや、社長、そこはぜったいとよちゃんが」
「下間さんならやれるのはわかってるけど。」
「私は無理!でも、ちゃんと立て直すことはできると思うわよ」
「それはそうです、社長!」
「そうよ、自分は石見神楽が大好きだと、もう一度熱く語って謝ればいい!」
「そうですよ!」
「えー」
「なに言ってるんですか!社長!」2人で声を揃えて
ワンマン社長はなかなか折れない。
同席していた秘書の女性2人もため息をついた。
さんざん美味しい焼肉を食べさせてもらいながら2人で説教。
ぜんぜんへこたれない。
とはいえ
頑固だけど、なぜか憎めないキャラでもあるのだ。
「下間さん、今度うちの娘と会ってくれへん?」
なんで私が!
「会ってみてやぁ」
もうっ。巻き込まれていくぅー。焼肉に釣られた私がバカだった(~_~;)
肉はめちゃめちゃ美味しかった。
鹿児島黒牛だそうです。
肉に罪はありませんので(笑)
美味しくいただきました。
社長、ゴチでした!
吹田駅からすぐです。個室も完備。
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