アルトの世界

ナレーションと語り*

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裏声日記

憑依の女優・大竹しのぶ

大竹しのぶさんの1人芝居

ヴィクトリア を観てきた。

1人芝居はよほどの実力がないと最後まで持たないことを知っている。

ちなみに

私は朗読をするが、1人きりでの朗読で、最後まで聴衆を引っ張れる時間はギリギリ40分程度。

大竹しのぶさんの今回の1人芝居は70分だそうだ。

さて

開演冒頭から世界に惹きこまれた。

舞台上には、ベッド、テーブル、椅子、カーテン。

ただそれだけ。

主役であるヴィクトリアは、白いネグリジェのような格好で、最初から最後まで通した。

それなのに!

ヴィクトリアのキャラクターがすぐに理解でき

相手役(誰も出てこないが)の存在感や個性がわかるだけでなく

舞台設定が変わらなくても、時代や場面が変わったと思えてスムーズに次の世界へ誘われる。

それはひとえに、大竹しのぶさんの芝居の力だ。

ヴィクトリアは終始存在するが、場面によっては見せる顔が変わるほか

おそらく、生い立ちに何か問題を抱えたであろう想像ができる台詞。

時に少女のように、時に娼婦のように、違った顔を見せるヴィクトリア。

しかし、声色には無理がない。

いつのまにか、この舞台はヴィクトリアの人生すべてであると気付くのだ。

素晴らしかった。

天性の女優はこうなのだ。

カーテンコールのために舞台に跳ねるように飛び出してきた大竹しのぶさんは

まだ演じているような?しかし、本当の素顔のような不思議な存在感で

実年齢を忘れさせる。

私は自称28歳だが(笑)自分を繕わず、この無邪気な女でいられる大竹しのぶさんに尊敬の気持ちが溢れた。

1人芝居は21年ぶりだとか。

素晴らしい舞台なので、ぜひ機会があれば目撃してほしい。

 

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