アルトの世界

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裏声日記

岩手災害ボランティア 12月3日 ~釜石にて 石屋ネーション①

どこの地域にも1か所くらいあるかもしれない。

クリスマスの時期になると素敵なイルミネーションでお家を飾り
近隣の皆さんの目を楽しませてくれるお宅。

釜石にある菊池石材店もそのひとつだ。

石屋1

「今年も楽しみにしてるよ」
「きれいだね」

皆からそう言ってもらえると、石材店の菊池さんご夫妻は、また来年も頑張ろう、綺麗に飾ろう、という気持ちになるのだそうだ。

ところが。。。

3.11により、15年近くかけて揃えたイルミネーショングッズはすべて流されてしまった。
石材店の1階は天井まで津波に襲われ、めちゃくちゃに。

今年はもうクリスマスも何もない。

そう思っていたのだが・・・
近所の人に
「今年も楽しみにしてる」
そう言われた。

「そんなこと言われても」
溜息をついていた矢先、姪御さんが言った。

「イルミネーションの寄付を呼び掛けてもう一度再生しよう!」

戸惑う菊池さんご夫妻だったが、姪御さんの積極的な活動により、全国から支援のイルミネーションが届けられた。

そして、この日、遠野まごころネットからのサポーター6人が応援に。

1階の室内にはイルミネーショングッズたちが所狭しと並んでいる。

石屋3

全国から寄せられたツリーや、ライトなど、たくさんある。

でも、中には穴が空き、泥のあとがついたライトも・・・

石屋2

「発火するから使えないけど、並べてあげたくて」
お母さんの愛情こもった言葉に、
ああ、今日は丁寧に心をこめてお手伝いしたい!
そう強く思った。

表に設置するライトは風で飛ばないように重石をつける。
石材店ならではの立派な石畳が重しとなる。

大小のペンギン。

最初、別々の石にくくろうかと思ったけれど、考えなした。
ちょっと狭いけど、一つの石に。
二つが離れないように。これは私の馬鹿げたセンチメンタルな願いだ。

でも、心の底からそう思った。

石屋5

ときどき私たちの様子を見に来てくれるご夫妻。
お母さんが次第にあの日のことを話始めた。

「娘にね、ここは大丈夫だって、これまで津波なんか来たことないから逃げないで良いって、そう私が言ってしまった」

このセリフは、このあと、昼食後にも繰り返し出てくることになる。
お母さんにとって、一番後悔してることだったのだ。

娘さんとお孫さん、無事である。
この日も一緒に参加してくれている。
でも、一歩間違えば・・・

お母さんが気を利かしてクリスマスソングのCDをかけてくれる。

「おー!気分が益々もりあがりますねっ♪」
「でしょ?」

お母さんが笑ってくれると私も嬉しい。
あいにくの雨模様だったが
作業する私たちの心を青空にしてくれる。

一緒に作業してる仲間のCちゃん。とっても丁寧な仕事ぶり。
私は・・・というと、何をやらせても不器用(笑)

石屋4

男性陣は天井からイルミネーションのカーテンをぶら下げる役目。
動いてると汗ばむほどだった。

そして・・・昼休憩を挟んで5時間ほどの作業が終了。

灯りが点され生き生きと輝くライト。
皆で何枚も集合写真を撮影する間、
菊池さんご夫妻はずっと真ん中で撮られるがままになっていた。

石屋6

こんな何枚も写真撮って、迷惑に思ってるのかな?

ちょっと心配になったのだけど。。。

その夜、姪御さんから頂いたメッセージには
「あのあと、叔父夫妻が泣きました」

石屋ネーションのイルミネーション、まだまだ募集中です。
この日の昼食の出来事は石屋ネーション②で。

 石屋7

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