アルトの世界

ナレーションと語り*

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裏声日記

引き出しの鍵

思えば、まだ駆け出しだった頃

自分に自信がなくて、でもいつか認められる日が来るのではないか、と夢を見ていた。

オーディションに落ちれば肩を落とし

合格したら天にも登る心地になったっけ。

飛び上がって喜んだ仕事もあったなぁ。

いま、駆け出しの子を教えている。

かなりガッツがあるけれど、引き出しが圧倒的に足りない。いや、引き出しは持っていても鍵がないので開けられない。

だから、私の引き出しの鍵をプレゼントする。

鍵はあっても開け方にはコツが必要なので、そのコツも教える。

生徒さんはまずはその引き出しの存在に気づき、鍵を持って、言われる通りに開けようとする。

なかなか開けられない。

でも、時々開けられるときもあって「この引き出しの中身すごーい!」

となる。

とまぁ、レッスンっちゅーのはそういうのの繰り返しだなと思う。

私は若い頃、仕事をもらい始めてから長らく、誰かの指導を仰がなかった。

教えてほしいと思う人が大阪にいなかったからだ。

そのため、自分で自分の引き出しのありかを探し、鍵を見つけようとした。

とても時間がかかった。

誰かに教えてもらったほうが早いことに何故気づかなかったのだろう?

ただ、教えてもらうべきタイミングやご縁がそのときではなかったのかもしれない。

30歳も過ぎて、ようやく引き出しの無さに気づき、東京に通って師匠に学ぶことを決意した。

師匠はご自身が40年かけて見つけた引き出しを、惜しげもなく私たち弟子に教えてくれた。

鍵も貸してくれた。しかし、そうは簡単に開けられない難しい鍵でもあった。

師匠に教えてもらった引き出しは私の財産となり、今はそれも含めて若い子に教えている。

かつての私と同じように、教え子はその引き出しの存在に驚き、喜び

「今すぐ家に帰って練習したいです!」

教わった鍵をすぐさま使いたいと勇む。

それで良い。まずはそのガッツ。

私が802のアナウンサーとなったのとほぼ同じ年齢。

夢中で仕事に向き合った充実の日々が思い出される。

今も変わらず仕事に夢中(笑)

お仕事させていただけるって幸せだなー。

後輩育成の責任は重いけど、やり甲斐もあるな。

そんなことを改めて思う、酷暑の夏。コロナの夏。

この夏初めて、自らエアコンつけました(笑)

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