アルトの世界

ナレーションと語り*

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裏声日記

うっかりBAR最後の日。

うっかりBARが閉店することになった経緯などはこちら

最後だからといって、特別な感じにはしたくないな。

ただ、立つ鳥あとを濁さず。

と言うとおり、今日7/31をラストに、うっかりBarに足を運ぶことはしたくない、と思った。

翌日に片付けに行ったり、店を出るときにしんみりしたくない。

これまで通り、また来週!な感じで終わりたい。

先週のうちに大方の荷物は持ち帰り、今日はお酒も飲み終わって身軽に帰るつもりだった。

ところが・・・。

18:30

オープンと同時に多くのお客様が集まってくれた。

なんなら開店前に待っている人も。

今日は1000円もらって好きに飲んでもらい、食べ物もフリーにした。

うっかり名物のガーリックさんまバゲットや、イサダの卵焼き、カレーなどを用意。

あっという間に店内は満席になり、立ち飲みの人も出てきた。

そんな中、あの人この人、多くの人がプレゼントを持ってきてくれて(ーー;)

えー。

しかも、花束やらフルーツの盛り合わせ。

フルーツの盛り合わせというのはカットしたものではなく、リンゴや柑橘類、キウイとか色々盛られたお見舞いみたいなものだ。

お、重いよ!

だんだんと私の顔色が変わる。

どうやって持って帰るねん!今日以降二度と店に来たくないのに!

予定が変わっていく〜

せめてお酒は飲みきってもらおう!!!

とはいえ、飲みまくっているお客さんがどんどん酔っ払って行くのを見ていると

これはまずい。このあたりでストップしないと!最後に倒れられたら困る。

しんみりするどころではなく、次々来店するお客さんにただ「あーら、ありがとう」こんな感じで愛想もくそもない塩対応していた。

時計を見ると、まだ閉店まで1時間もある。

ひー、早く終わりたい(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

10年やろうが、最終日であろうが、現実的にただただ「忙しい」のである。

そのとき突然

「とよこさん!」呼ばれた。

「ん?」

見ると、窓ガラスに横断幕が。

「とよちゃん♡やっちゃん♡うっかりBAR10年間お疲れ様でした」

「わ!」

「せーの!とよちゃん♡やっちゃん♡うっかりBAR10年間お疲れ様でした~~~~」

みんなからの寄せ書きも。

あ、この寄せ書きはさっき目の前で堂々と書いていたのを見たからサプライズじゃなかったけど笑

パンダのかぶり物をしたメンバーが賑やかにラストを盛り上げてくれてお客様全員が拍手を送ってくれた。

 

あーあ。

サプライズ苦手。

最後はさらりと終わりたかったのに。

とはいえ、せめてお礼の言葉を言わなくちゃ。なんて言おう。

口を開いたら、涙があふれてきてしまった。

ほら、こうなっちゃうよね。

やっちゃんのことを話すと涙が止まらなくなる。

 

うっかりBARの10年はやっちゃんの想い出とともにある。

 

今日、盛り上げてくれているみんなはここ2.3年のつきあい。みんなやっちゃんを知らない。

それなのにこうして横断幕には「やっちゃん」の文字。

そしてこのメンバーに押されて端っこに座っているのは10年前の最初から私とやっちゃんを応援してくれた仲間だ。

やっちゃんが死んでしまったときも、ずっと手をさしのべてくれた。

数年ぶりに会いに来てくれた仲間もいた。

今の仲間も昔からの仲間も、ここに集う。

うっかりBARは、なんて幸せな場所だったのだろうと思うと

涙がどんどん出てくる。

泣きじゃくることもなく、言葉に詰まることもない。

でも、涙が止まらなかった。

 

あーあ。

私の終わりの美学が!誤算!笑

 

でも、みんなで写真を撮って、一息ついたところで

「はい!とっとと帰ってちょうだい!」

いつもの私に戻った(笑)

みんな笑って片付けを手伝ってくれて・・・

うっかりBARのラスト営業は終わった。

残ったお酒。花束たくさん、フルーツ盛り、そのほかにも調味料やらなにやら

 

やっぱり明日また片付けに来なきゃだめか・・・

 

諦めかけたとき

 

「大丈夫ですよ、下間さん!まとめればなんとか。タクシーで家の前までいけば」

 

やっちゃんがいなくなったあと、困ったときにはいつも手伝いにきてくれたマネージャーの岸ちゃんが言った。

「でも、、、」

てきぱきと荷物をまとめてくれる。

「これ捨てていいですか?」

「うん」

「これどうします?」

「持って帰る」

こうして

最後の最後も彼女のおかげで全部撤収!

7/31じゅうに、最後の営業をもって、この10年お世話になった場所とサヨナラ!

できた!

みんなみんなありがとう。

お世話になりました。

この店の月曜日を任せてくれたマキコさんありがとうございました。

やっちゃん。

10年前のあの日、私の背中を押してくれてありがとう。

ずっと忘れないからね。

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