アルトの世界

ナレーションと語り*

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裏声日記

恐怖!黒いカミソリ

それは、ある昼下がりのことだった。

まごころネット関西事務所、通称「アジト」で大掃除をしていた、家政婦トヨコは

「そうだ、お風呂場も掃除しとかなくっちゃ」

玄関から入ってすぐ右手にある、小さな風呂場へと向かった。

このアジトは、通常は関西での対応やミーティングなどに使う事務所なのだが、
岩手や東京、関西を飛び回っている責任者Yの宿泊部屋も兼ねている。

ゆえに、風呂場も彼が使っているため掃除が必要なのだった。

ころすけ

この男、Yという。
ちょっとワイルドなイケメンである。

ところが、彼には短所がある。
片づけが下手なことだ。

アジトに彼が泊ったあとは、色々なものが散らばっており、
 その日の掃除も、ほとんど彼のいた様々な痕跡を片づけることに費やしていた。

風呂場に行き、浴槽を掃除し、最後に排水溝の蓋を開ける。

「はあ~・・・」

トヨコは溜息を吐いた。

排水溝に黒いT字カミソリが溜まっていたのだ。しかも3本も。
どのカミソリも刃が茶色く錆ついている。

「Yさんったら。捨ててよね、こういうの」

1人ごちながら、トヨコはカミソリを捨てた。

で、あれから数日経ったある日ですわ。
Yさんに言ったのよ。

「ちょっと、カミソリ、ちゃんと捨ててよね」

するとYさんの顔色が変わったのだ。

「あれ、俺じゃないんだよ。俺、あういうカミソリ使わないもん。俺も前に排水溝見て、なんで?って思って、なんか怖くなってまた蓋したの!
見なかったことにしようって思って・・・」

「じゃあ誰が使ったのよ3本も」

「3本!?ふ、増えてる・・・」

「・・・・・・・」

「きっと、Rちゃんだよ」

Rちゃんとは、鍵を預かっている1人で、女性である。
すぐさま電話で確認したところ

「なんで、わたしが事務所でカミソリ使うんですか(-_-;)」

そりゃそうだ。

「じゃ、きっとYちゃんだ」
Yちゃんとは、やはり鍵を預かっている50代男性である。

「そうだ、きっとYちゃんだ」
「うんそういうことでいいよ」

ころすけ

この男、Yという。
ワイルドに見えて、究極のビビリである。

「怖いよ~~二度とアジトには泊らない!!」

そう言って、彼はその晩、サウナに泊ったのだった。

で、今日、そのYちゃん(50代男性)に確認したところ・・・

「わたしが泊ったのは夏に1回、あともう1回の2回だけですし、カミソリもつかってませんよ。それは間違いなくお化けの仕業ですね」

最後の可能性も消えた瞬間だった。

そして、私もなんとなくアジトに行きたくなくて、
しかも、風呂場の排水溝は絶対開けたくない。

だって、もしかしたら・・・

じゃ、ここで、タイトルコール行ってみよう!
「   」

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