アルトの世界

ナレーションと語り*

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裏声日記

お・も・て・な・し

まめぶ汁教室の企画が決まって、
岩手から久慈のおかーさんを先生役としてお招きすることになった。

さて、そんな簡単に見つかるかしら?
と、思ったら、まごころネットの職員Hさんのお母様が久慈の出で、
「いってもいい」と乗り気になってくれたという。

わー!良かった。
とんとん拍子に話が進む。

ところが・・・
しばらくすると、そのHさんの様子がおかしい。

どうやら、やっぱり1人で行くのは不安・・・という話らしいのだ。
かといって、娘や息子が付き添えるか?調整せねばならない。

日にちは迫ってくる。
で、とにかく、おかーさんがいらっしゃる3日間は、私がお世話をさせていただこう!と思った。
60代のおかーさんが、たった1人見知らぬ場所へ。
そりゃ不安だろう。

3日間のスケジュールを組んで、
ご迷惑でなければ私が3日間とも一緒に過ごさせてもらうこと、
空港へのお迎えから、その日の予定を細かにしるし、
翌朝もまたお迎えにいくこと
観光にもご案内したいという私の気持ち、
でも、1人の方が気楽ならそっとしておきたい、という気持ち
とにかく心を込めて書いて、メールで送った。

電話でも話した。
おかーさんは岩手の人。とてもおっとりしたスピードで話す。
わたしの喋るスピードもゆっくりしなきゃ。

「わたしがずっと一緒に過ごします。ご迷惑じゃないですか?」
「そうしてもらったら嬉しいです。予定を丁寧に書いてもらってるのを見て、これだったら1人でも行けるかなって」

あーよかった!

Hさんもお任せします。と言ってくれた。

かくして、ご家族の皆さんに心配されながら、おかーさんはやってきた。

まめぶ汁教室の先生のイメージぴったりのおかーさん。
なんと、東京より西には一度も来たことないとか。
1人での旅行も初めて。そりゃ不安にもなるわ!
とにかく、気を遣いつつ、気を遣わせないように。ここが一番大事だと思う。
でも、相手の気持ちは完全には読めない。正直に今の思いを言ってもらわないとね・・・。
言える雰囲気を作れるかどうか、だよね。

ホテルにチェックインし、さっそく買い出しに付き合ってもらう。
協力したい、というおかーさんの気持ちがすごく伝わってくる。
この買い物、すごく楽しかった。
100人分の食材を買うのにどれくらいにしよう?と迷っていた私に
おかーさんが的確にアドバイスしてくれる。
おかーさんが居なかったら買いすぎてたかも(笑)

夜はサプライズパーティーに同席してもらった。
大歓迎してくれる優しいメンバーばかりなのは知っている。
でも、おかーさん本人は?
後で聞いたが、あの席もとても楽しい時間だったと教えてくれた。あー良かった。
このとき、ポイントだったのは、
おもてなししたかったので支払いはこちらで持っていたのだが
宴のあと、おかーさんが「払いたい」と申し出たことだった。
最初は断ったが、いや、待てよ、ここは受け取るべき。。と思い甘えることにした。

その後も、おかーさんは時々ちゃんと正直に気持ちを口に出してくれた。
イベント当日は本当にバッチリで、
緊張していたと言っていたのもいつしか楽しげになっていったし。
ただ、終わったあとの打ち上げは、私も「おかーさんは行きたくないだろうな」と思っていたのだが
ここも正直に「ホテルに戻る」と言ってくれた。
晩御飯はどうするだろう?とは思ったが、絶対疲れているのでそっとしておくことにした。

案の定、その日、ホテルについたらバタンキューだったそうで
遅くにコンビニに行って御飯を買って、部屋でゆっくり食べて疲労回復した、そうだ。
あー良かった。

そして、最終日の今日。
雨の心配はあったが、観光にご案内。
付き合わせて悪い、とおかーさんは思っていたらしいが
こっちはどこ行こう?何食べてもらおう?とワクワクしていて、雨だけが心配だった。
幸い朝は日差しも出て、大阪城へ。
ご家族が「大阪城は見た方がいいのでは?」とアドバイスしていたらしい(笑)

帰りの飛行機が気になっているのもわかったので
早めの行動に切り替える。

道頓堀は車窓から。
「見た、だけでいい(笑)」 わたしも同感。あんな人ごみ歩いても疲れるし。

おかーさんが一番喜んでくれたのが粉もんだった。

有名店でも良かったが、混んでるしうるさいし。
っていうことで、私の家の近くで、と~っても美味しいお好み焼き&たこやき屋にご案内。
遅めの昼だったこともあり、貸切。こりゃいいわ!

一番のおすすめのたこ焼きをまず食べてもらう。

「わ~~~おーいしーい!!こんなたこやき初めて食べたよお!!」
絶賛の声をあげてくれた。
よっしゃ~ヽ(*´з`*)ノ

たぶん、大阪の中でも相当美味しいハイレベルなたこ焼きなのだ。
スマホの調子が悪く写真撮れなかった。゚(゚´Д`゚)゚。

もちろんお好みも抜群。

お好み焼き

「え~?これまで食べたお好み焼きと全然違うよお~。ほんとうに美味しいねえ」

これは是非家族にも食べさせてあげたい。
ということで、たこ焼きをテイクアウト。
ここのたこ焼きは冷めても美味しいのだ。

20個注文し、それを焼いてるところも間近で観察し、おかーさんは楽しそうに撮影する。

「こうやって作るんだ」
おかーさんはとても勉強家だ。
というのも、昨日の教室も、私の進行っぷりを横で見て、
「なるほどー、こうするのかあ~、わかりやすい」
さんざん讃賞されたw
わたしにとっては当たり前の段取りだったが、おかーさんがこれまで参加したどの料理教室より
よほど楽しく、わかりやすかったそうだ。
なんか嬉しい。
で、その私の進行を見て、これから何かしらに生かせるかな、と考えて観察していたそうな。
おっとりしているけれど、そんな一面もあるのだと驚いた。

たこ焼きのお土産、551の豚まんと焼売、自由軒のカレー煎餅を買い込んで
「ホッとした~」
フライトまではまだ1時間くらいあったけれど
ここはおかーさんの好きに過ごしてもらおうと、入場ゲート前の待合室でお別れした。

完璧なおもてなしなんてできない。
きっとほんとに疲れただろうと思う。
でも、時々でも楽しい時間があったなら有難いな。

私はあった。

でっかい私とちっちゃいおかーさん。歩幅も違ったが、一緒に歩けて良かった。

「今度岩手に来てくれたら、平泉を案内する」

うんうん。おかーさんの気持ちを考えたら行かなきゃね?

また1人、岩手に大事な人ができました。

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