アルトの世界

ナレーションと語り*

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裏声日記

私のバカ!

シャルルドゴール空港から帰路についた。

ゆっくり座れる場所を事前に選んだ。
真ん中4席の通路側。隣りは空席。
うん、ここならゆっくり過ごせる。

機内に乗り込むと、4列のうち
右端に小柄な女性、その隣りに母親と見られる年配の女性。空席があり、私の席。

ここ、誰も来ないんですか?

年配の女性に尋ねられた。

はい。来ない席を選んだのです。

そういうと、女性は、そんな風に選ぶことができるのか!
と感心した様子である。

せっかく選んだ席。私は空席に荷物を置かせてもらい、足元も広々と。
横の気兼ねも、トイレのときにいちいち立ち上がる必要もなく、快適に過ごした。

もうすぐ関空に着く。

年配の女性がトイレに立った。
これまで、ほとんど陰に隠れて見えなかった、1番右端の女性があらわになった。

あれ?
と、思ったのはそのときである。

もしかして…
でも、まさかね。

記憶を辿ってみるが、うーん、似てるような、違うような。

一瞬、声をかけてみようかと思ったが、
それをしなかったのは、スッピンにメガネ、マスクという出で立ちだったことも理由のひとつである。

そして、帰宅。
昼過ぎにFacebookメッセージが届いた。

やっぱり下間さんだったんですね!

え!やっぱり!

なんと、ただ1度しかお会いしたことの無い方だけど、
Facebookで繋がっている方だった。

お母様とフランス旅行していることはFacebookで知っていたが、
まさかの同じ飛行機。
そして、何百人も乗っている中で、隣りの席になるとは!!

こんな偶然あるだろうか。
しかし、私はそれを見逃してしまった。

実はあちらも、もしかして?と思っていたそうだが
確信が持てず、関空に到着して、Facebookを見て確信したのだという。

正直、機内での私は、一人きりの世界で、
話しかけられたときも愛想もなにも無く、非常に冷たい感じだったのだろうと思う。

もし、あの時、もっとオープンな気持ちで接していれば、
お母様とだけでなく、その向こうに座るFさんとも目を見て話したかもしれない。
そうすれば、お互い気付いて、この偶然を意味ある時間に変えられたと思う。

意味…がなんなのかはわからないけど。

旅の終わりに不思議な出来事。

行きも帰りも、現地でも。
ドアを開ければそこに新しい世界と出会いがある。
開けなければ広がらない。

撮影、Iさん。フランス

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