「あれ？あの後ろ姿、Kちゃんに似てる」

んん？Kちゃんにしては肩幅がイカツイでしょう。

と、ある男性の後ろ姿を見つめるうち
信号待ちでその男性に追いついた。

斜め横顔が見える。

「やっぱりKちゃんじゃない？」

ほんとだ、似てるねぇ。
Kちゃん！Kちゃん！

「うわっ！なにしてるんですか？」

ウロウロしているエリアとは言うもののさほどバッタリ出会うことも少ないのに
たまたまランチして、帰り道で出会うとは。

しかも、発見する直前、Kちゃんの話題をしていたのである。

すると、向こうは向こうで

「さっきまでKわちゃんと一緒で、京阪の声聞いて下間さんの話題してたところなんですよ！びっくりしたー」

あはは。引き寄せだねぇ（笑）

さて、その後わたしは無理矢理時間を作り美容院へ。

いつものLUFTである。

オーナーが私の担当なのだが
少し顔が浮かない。どうしたのかな？

すると、カットしながら話してくれた。

あぁ…。
そうなんだ。

いつも前向き、元気に見せてるオーナーだけど
プライベートではやはり色々ある。
私は長い付き合いでもあり、過去絡みの彼の苦しみを多少は知っていた。

私はただ真剣にその話を聞き
軽く合いの手を入れることしか出来ず
でも、改めて彼の苦しんだ数年を想像して辛くなってしまった。

もちろんお客様誰にでもそんな話はしないだろうし
今日は私に言いたかったんだろな、と思う。

いつも笑顔の写真をFacebookに投稿してる彼だが
どことなくあえて笑っていることを感じていて
いつもその写真を見ると違和感を覚えた。

そういうことだったのね。

彼はお客さんの髪を洗うことで、お客さんの心の洗濯をして
髪を切ることで悲しみを取り払って
明るい未来へ送り出す仕事をしている。

今日も、そんな打ち明け話はしていても
私を少しでも素敵にしようと工夫してくれて
自らドライヤーも持ってくれた。

彼の子供たちは、いつかきっとお父さんを尊敬して
お父さんを自慢するだろう。
子供は親の背中をちゃんと見てる。

じゃね、頑張ってね。

そう言うのがやっとだったけど…
きっと良いことがあるよ。それを信じて応援することはできる。

いつか、ほんとに無邪気な笑顔を見せてくれると良いな。