アルトの世界

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裏声日記

母と初笑い

今日は母の命日だった。

姉夫婦と私の3人だけの法事。

京都のお寺でお経をあげてもらった。

ご住職は、いつもお焼香のタイミングを合図してくれるのだが

その日、こう言った。

「お経が始まったらどうぞ」

そもそも、合図をくれるのは、私たちがなかなかお焼香しないので促してくれている感じである。

お経が始まった。

私は姉に「行きなよ」と、目配せした。

すると姉が

「え?まだ合図してないよ」

「お経始まったらって言ってたよ。やったら良いよ」

私は言った。

そして、姉、私、義兄と順番にお焼香した。

しばらくして・・・

ご住職がおもむろにこちらに顔を向け

「どーぞ」

と言った。

「え!」

私たち3人は顔を見合わせた。

「ちょっとあんた、ほら言ったじゃない!」

小声で姉が言う。

「あら!どうする?」

そして

姉からもう一巡お焼香することに。

もう、その頃には、私たちは堪えきれなくて、肩を震わせて笑いを堪える。

我慢しようとすればするほど笑いが込み上げてくる。

おバカにも2回目のお焼香する3人!

笑いすぎて涙が出る。

我慢できずに義兄が吹き出すのを見てまた笑う。

お腹痛い!

こんなに笑ったの久しぶりだ。

なんだかお母さんと一緒に笑ってる気になってきた。

もう15年になるか。

あの日の衝撃は忘れたくても忘れられない。

母の自死は私たち家族の心を凍らせた。

お正月には二度と笑えないと思ったものだ。

それが、今日はみんなで初笑い。

あの頃ほどの痛みはもうない。

私たちは歳を重ねたのだ。

良い命日だった。

夜は来週の朗読会後の打ち上げ会場ロケハン。

お腹いっぱい。

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