アルトの世界

ナレーションと語り*

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裏声日記

家族の時間

明日は父の日。

がしかし、予定があるので1日前倒しでプレゼントを持って行くことになった。

そしてその前に寄り道を。

叔母の施設訪問。車なら近いのになかなか足が向かなくて申し訳ない限りである。

訪問するたびドキドキする。

もしかしたら、もう私の名前がわからないかも?

でも、不思議なことに叔母は顔と名前は一致するのだ。ただ、今話したことをすぐ忘れてしまう。

私たちの顔を見て「とよちゃんやないの、どうしたの?」と、嬉しそうな表情を見せた。

あぁ、覚えててくれた(笑)

要介護度が3になり、足も弱っては来ているが、相変わらず喋り口調はしっかりしている。

ただし、、、

「あんたは何年生まれやっけ?」「で、結果的に今はなにしてるの?」「お母さんは元気?」

などの質問のループ(^_^;)

まぁまぁ、とにかくせっかく良い天気だしお茶でも飲みに出かけましょう!

と言って誘い出しすと、私たちの真ん中に入ってそれぞれと手を繋ぎ、ゆっくりゆっくり歩き出した。

あまり遠くまでは歩けない。つい3月までは1人で河原町をうろついていたのに。

途端に罪の意識がわいてくる。施設に入れたせいで弱ってしまったのだ(T-T)

ネットで事前に調べていた、ハワイアンカフェに行き、叔母が好きなパンケーキを注文した。

美味しいわぁーと言って半分ぺろりと平らげた(笑)

そして、話はループしつつも時折正常な発言をする叔母にびっくりしたりして。

でも、やっぱり、未だに京都に住んでいると思っているのは間違いなくて切なくなる。

姉や従姉妹に様子を知らせたくて、写真を撮った。

「どれどれ?写真見せて」

お茶目な様子で言うので見せると、、、

「これ誰やー?不細工やなぁ。え?あたし?あかんなぁ〜」

そんなことないよ、綺麗だよ。お肌もつやつやだよ!88歳には見えないよ!

「そうよー!もうあたし88なのよ!で、あんたは何年生まれ?」

ははは。また始まった(笑)

叔母の笑顔はパンケーキそっくりだな(笑)

昼下がりのティータイム。叔母と過ごせて良かった。

「今度はドライブに行きたいわ。海が見たいのよ」と叔母が言った。

是非とも叶えてあげなくては、ね。

部屋に戻って、スタッフの方に申し送りなどして帰ろうとすると、エレベーター前まで送ると言ってついて来た。

初めてここに来た日は、部屋に戻れなくなって大変だったけど、もうそれは大丈夫なようだった。

エレベーターのドアが閉まってもガラス越しに手を振ってくれた。私も手を振ってバイバイ!と言った。

温かい気持ちと、切なさが入り混じる。ここの帰り道はいつもそんな感じだ。

夜は京都の実家に行って予定通り父の日のありがとうディナー。

色々材料を持参して手作りのトマト鍋を準備すると

「こんな鍋は初めてやなー!」と両親ともに喜んでくれた♡

お父さんの苦手なはずの鶏肉も「意外とうまいなぁ」と食べてくれる。

締めのチーズリゾットまで完食!

何度も「美味いわ。美味いわ」と褒めてもらえて、あぁ良かった。

まったくもって親不孝な私なので、こんな日にしかお礼できない。

そんな私なのに、明日早朝にオンエアされる番組があるよ、と言うと、早速新聞を確認して

「おぉ、これか。予約録画するわ」

その場でやってくれた。

私なんかのために、有難いことです。

帰り道、疎水に蛍がいるよと聞いて立ち寄ってみたが、雨の後じゃなかったせいもあり出会えなかった。

蛍。見に行きたいな。

今日は一日家族の時間でした。

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