アルトの世界

ナレーションと語り*

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裏声日記

始終臭い

10代は苦しく辛い日々が多かった。

20代は仕事に夢中になり、新しい家族ができた。

30代は再び勉強の日々。

40代は震災以降、視野が広がった。

さて、始終臭い。49歳も残すところあとわずか。

今夜は家族が私のリクエストでラ・フェットひらまつを予約してくれた。

私は7月14日パリ祭生まれ。

ちょうどひらまつで前夜の13日にパリ祭ガラディナーを開催すると知ったのだ。

去年もバースデーにお邪魔したひらまつ。

シャンパン含めて飲み放題。

そして今夜だけのスペシャルメニュー。幸せいっぱいのディナーだった。

家族と待ち合わせの場所に着くと、なにやら机に座って書いている。

お待たせ!

声をかけたら、、、

「あーあ。」

サプライズでバースデーカードを用意するつもりだったらしい。

さすが(笑)いかにもやりそう!な「サプライズ失敗」に笑えた。

一方、やはりサプライズなのに1日前に着いてしまったのがこれ。

姉からのプレゼントだった。

手紙には

「あんたからは貰った記憶もないけれど」

「可愛いバッグをプレゼントしたこともあるけれど」

「フランス料理はいつでもご馳走になる用意がある」

などと憎まれ口が綴られ、それでも

「お誕生日おめでとう」

と。

3つ歳上なだけの姉が、私の大切な肉親であり、わざわざプレゼントを贈ってくれるなんて、妹は幸せものだ。

私が舞台をやるときには友達に声をかけ、動員してくれて

私が番組を担当したら、友達親戚にまで連絡してくれて感想をくれる。

末っ子の私は、しっかり者のようで、兄と姉にとっては何故か頼りない妹。

兄も、生前は私をとても可愛がって応援してくれたっけ。

思い出すだけで泣けてくる。

今、私を支えてくれる家族や友人がいる。有り難くて仕方ない。

でも、血の繋がっている肉親は、もう姉だけだ。

もちろん甥っ子姪っ子いっぱいいるけれど「都代子」と呼んで心配してくれる人は姉だけだ。

家族のことを考えるといつも涙が溢れてくる。

母はきっとまだ元気でいられたはず。

兄はもっと事業で頑張っていたはず。

誕生日の前夜にもかかわらず、幸せを噛み締めつつも涙が止まらない。

私はもうすぐ50歳になるのに

まだ子供なのだ。

誰かの役に立てる人間には程遠い未熟な猿だ。

こんな私のために、明日は友達が集まってくれる。

明日は幸せを噛み締めるだけの1日にします。

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