アルトの世界

ナレーションと語り*

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裏声日記

笑顔のお年玉

施設の叔母に会いに。

突然の訪問に叔母さんは笑顔を見せてとても喜んでくれた。スタッフの方々にも「うちの姪なのよ」と嬉しそうに紹介する。

去年の3月に入って以降、ずっと施設に慣れなかった叔母さん。

しかし実は去年の10月頃からかな?ようやく精神的に落ち着いて来たのだ。

理由はたぶん、、、あれ。だと思う。

叔母さんは一人暮らしのときから通帳を眺めることが多く、そこになんだかんだ書き込んでしまっては何度となく通帳が使えない状態になってしまっていた。

新しい通帳を作るには色々と手続きが面倒で時間もかかる。

以前はよく行く銀行の方に協力してもらって、叔母がやってきて困ったことを言い出したら私の携帯に連絡をもらい、私が電話口で諭して帰らせる、、、なんてことを毎回やっていた(笑)

あの頃はマジ大変だったなぁー(^_^;)

施設に入ってからは銀行に一人で行けなくなったけど、家に帰りたい思いと、暇な時間は通帳を眺めてはあれやこれやと書き込んでいて、、、たぶん先々のお金の心配をすごくしていたのではないかと思う。

そして

やっぱり通帳がダメになってしまった。

ネットバンキングでの管理は過去の履歴が全部見られないという問題があり、通帳記入ができないと叔母さんのお金の管理を代わりにやっている私としてはとても困る。

で、10月に会った際、うまいこと言って叔母さんからその通帳を預かり、代わりに私が銀行で新しくしてもらうことになった。もちろんアルツハイマーであることや、身内であることを証明するなど手続きはややこしかったけど(T-T)

叔母さんのことだから「私の通帳が無い!」と施設で騒ぐと予想し、スタッフの方に私が預かる旨も伝えておいて、新しくなったらすぐに返すつもりでいた。

ところが、、、

その後施設を訪問した孫娘によると

「頭が冴えててご機嫌でした。通帳のことは何も言いませんでした!」

従姉妹が行った時も「調子良さそうだったよ」

これは、、、

通帳の呪縛から解き放たれたのでは?

今日も叔母さんは比較的頭が冴えてて、私の名前をすんなり言い、ここは施設であることや、もう2人の兄さんは亡くなっていないこと、私の兄(叔母さんの甥っ子にあたる)ももうこの世にいないことなど理解して話していた。

もちろんアルツハイマーなので話はループするのだが、前ほど短時間でのループではないと感じた。

それでも頭が冴えているということは酷なことでもあり

「みんな亡くなってしまって、本当に寂しいのよ。叔母さんのこと気にかけて来てくれて嬉しいの」

泣きながら手を握るのだ。

それでも肉親ではない人のことは記憶が薄い。

「あんたのお母さんどうしてるのかしら?」

ん?うちのお母さん?もうとうに亡くなったわよ。お父さんより先にね。

「あら、なんで亡くなったんやろ」

まぁまぁいいじゃない。思い出さないでいいこともあるよ、ね。叔母さん(^^)

「そうか、そうやね」

気付いたのか、はたまた心の蓋を開けるのを本能的に躊躇ったのか、それ以上は言わなかった。叔母さんが我が子のように可愛がっていた兄の死のことも

「あの子も早く死んだねぇ、、、なんでかな」

蓋をしてくれているようだった。

でも、きっと1人で施設の部屋にいるときなど、ふと正気に戻って泣いてるんだろな。

いつもその姿が目に浮かんできて辛くなる。

近くの喫茶店でコーヒーとケーキを頼み、ひととき楽しそうに過ごしてくれた叔母さん。ぎゅっと繋いだときの手がすごく温かくて。

私は両親の手を握って歩いてあげるような機会が無いまま死なれてしまったので、肉親の叔母さんと手を繋げることが幸せで。

施設にいたとしても生きてくれてたらやっぱり嬉しい。

「叔母さん90までは元気やと思うのよ〜(笑)」

自分で言って笑ってた。

ハイお願いします。

笑顔を見せてくれてありがとう。

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