アルトの世界

ナレーションと語り*

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裏声日記

教えることは学びです。

某プロダクションの若い子たちに朗読を教えている。

ここしばらく取り組んでいたのが

「月夜とめがね」小川未明

私の好きな作品のひとつだ。

それぞれ自分なりにキャラクターを描いてもらい、なぜそのキャラクターにするのか?も説明してもらい

ひとつひとつ文章を味わって、イメージを膨らませる。

さて、今日はその仕上げで、1人ずつ全文を朗読してもらった。

気になるところが山盛り。

ぜんぜん出来てない。

あーあ・・・

次回からはもっと簡単で短い作品にしなきゃなぁ。

細かい指導はせず、良かったところと課題を1人ずつ伝えていった。

ちなみに、私はいつもじゃんけんで勝った人から読んでもらうようにしている。

だから負けた人がラスト。

今日のレッスンで最後に当たったのは安島さんという20代前半の女子だった。

もともと朗読は上手な人だが、今日の朗読はピカイチだった。

彼女の素晴らしい表現の世界に、心地よく誘われた。

しっかり計算し、細かい工夫もある。

表情も、手の動きも、すべてきっちり。

それもこれも練習の成果なのだ。

そう!練習をしっかりすれば、ここまでできるのよ。

実は前回のレッスンのとき、彼女は声帯を傷めていて、声が出せなかった。

それでも「見学だけさせてほしい」とやってきて

みんなの朗読を聴き、私の指導を熱心に書き留めていた。

「前回できなくて悔しかったので(笑)」

やっぱりね。こうでなくちゃ。

私も師匠に教わっている頃、これくらい必死だった。

ちゃんと自主練できないまま東京に行った時は、師匠にバレバレ。

でも、必死に稽古したときには一歩前進できた感覚を持てたものだ。

今日、彼女が素晴らしい朗読をしてくれたことは、彼女自身の成長を示しただけでなく

一緒にレッスンを受けていたメンバーにとって非常に価値があった。

レベルの違う朗読を見せられて

すごい!

と感じていないなら、即、この仕事の道を諦めた方が良い。

幸い、みんなに感想を聞いたら、素晴らしかったことをよく理解していたので

「良かったところがわかったということは、あなたもできるようになるんだよ」

と伝えて、今回の作品を終えた。

安島さんの「月夜とめがね」ほんとに良かったなぁ。

私も聴く人、見る人に感動を与えられる朗読をしたい。

教えることは学びです。

ああ、気持ち良い。

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